公開日: 2018. 01 更新日: 2018. 01 「収束」と「終息」の違いと使い分けとは?宣言するのはどっち? 「収束」という言葉をご存知でしょうか。 「事態が収束する」「争いが収束する」などと使います。 では、「収束」とは一体どういう意味なのでしょうか。 具体的な意味はよく分からないけれど、なんとなく使ってしまっているという人も多いかもしれません。 実は「収束」と間違えやすい言葉に「終息」があります。 どちらも「しゅうそく」と読みます。 同じ意味の感じがしますが、何か違いはあるのでしょうか。 言葉を正しく使うためには、しっかりと意味を理解する必要があります。 そこで今回は「収束」と「終息」の違いと使い分けについて解説していきます。 意味を正しく覚えて、上手く使い分けできるようにしましょう! 「収束」の意味と使い方 読み方と漢字 「収束」は< しゅうそく>と読みます。 「集束」と書くこともできますが、 一般的には「収束」とすることが多いです。 「収」は音読みで「シュウ」、訓読みで「おさめる・おさまる」と読みます。 「収」は「取りまとめる。 まとまる」を意味します。 「束」は音読みで「ソク」、訓読みで「たば・つか・つかねる」と読みます。 「束」は「引き締めて一つにまとめる」を意味します。 一般的な意味と使い方 「収束」の意味は 「おさまりをつけること。 おさまりがつくこと」です。 分裂や混乱していたものが、まとまっておさまりがつくこと・おさまりをつけることを表します。 「収」は「取りまとめる。 まとまる」、「束」は「引き締めて一つにまとめる」を意味します。 「収束」には「多くの光線が一点に集まる」という意味も含まれます。 これは物理用語なので、日常的にはあまり使いません。 混乱していた状態が落ち着いてきたという場合に「収束」を使います。 「収束」は完全に終わるという場合ではなく、一定の状況に落ち着く、一旦まとまるという場合に用いるのが適します。 例えば、「事件が収束に向かう」「事故による一時の混乱は収束する」などと使います。 言い回しとしては、 ・収束する ・収束を図る ・収束に向かう ・収束をつける などとなります。 数学用語 数学においての「収束」は 「数列が、ある一つの有限確定の値にいくらでも近づくこと」です。 具体的には、 ・ある無限数列が、ある値にいくらでも近づくこと ・数列の項が、ある値に限りなく近づくこと ・級数の途中までの和が、ある値にいくらでも近い値をとること を表します。 収束しない場合は「発散する」と言います。 類語 収斂(しゅうれん) (意味:一つにまとまること。 まとめること) 「こんがらがっていた感情が一点に収斂する」 輻輳(ふくそう) (意味:方々から集まること。 ものが一箇所に混み合うこと) 「種々の交通機関が輻輳する」 交わり (意味:交わること。 付き合い) 「一切の交わりを絶つ」 重複 (意味:同じ物事が幾度も重なること) 「話が重複してしまう」 沈静 (意味:落ち着いて静かなこと) 「事態が沈静する」 収拾 (意味:混乱した状態などを、取りまとめること) 「収拾がつかない」 正常化 (意味:あるべき状態にすること) 「国交を正常化する」 平常化 (意味:常日頃のようにする) 「事態を平常化する」 鎮火(ちんか) (意味:火事の消えて鎮まること) 「鎮火して静かになる」 「終息」の意味と使い方 読み方と漢字 「終息」は< しゅうそく>と読みます。 「終 熄」と書くこともできますが、一般的には「終息」と書きます。 「終」は音読みで「シュウ」、訓読みで「おわる・おえる」と読みます。 「終」は「おわる。 おえる。 おわり」を意味します。 「息」は音読みで「ソク」、訓読みで「いき・やすむ・いこう」と読みます。 「息」は「やむ。 しずめる」を意味します。 意味と使い方 「終息」の意味は 「事が終わって、おさまること」です。 物事がすっかり終わること・事態が完全に集結することを表します。 完全に物事が終わるという場合に「終息」を使います。 世界的に重大な戦争が終わった時や、一つの時代が終わった時などは「終息」が適します。 例えば、「戦争が終息を迎える」「インフレが終息する」などと言います。 「終息」=「息が終わる」=「エンド」と覚えておきましょう。 言い回しとしては、 ・終息する ・終息を迎える ・終息に向かう などとなります。 類語 終わる (意味:物事や動作が最後の段階まで行きついて,それ以上続かなくさま) 「やっと片付けが終わる」 ストップ (意味:止まること) 「雷で電車がストップしてしまった」 完結 (意味:しめくくりがついて、すべて終わること) 「楽しみにしていた連載漫画が完結した」 済む (意味:物事が終わる。 終了する) 「課題がいつもより早く済んだ」 終結 (意味:物事のおさまりがつくこと) 「AさんBさんとの争いはやっと終結した」 止まる (意味:動いていた人物などが動かなくなる) 「前の人が急に止まったのでびっくりした」 終止 (意味:終わりにすること) 「長期に渡った関係に終止符を打つ」 完了 (意味:全てが終わること) 「準備が完了したので始めることにする」 終了 (意味:物事が終わりになること。 終わりにすること) 「そろそろ業務を終了する」 例文 例文 ・ファミコンブームが終息した今、携帯式ゲームが人気となっている。 ・注射を呼びかけた効果があり、蔓延していた感染病が終息した。 ・地震による困難や事故については、なかなか終息しない。 ・長い期間に渡って起きていた暴動は終息を迎えた。 ・生産終息品については、最終セールを実施する予定だ。 ・全土に流行したものの、来週にはインフルエンザの終息宣言ができるだろう。 ・麻疹が注目を浴びているが、いつ終息するかについては気になるところだ。 ・新しい理事長が就任したことから、事件は終息に向かうことになった。
次の【 収束】 しゅうそく おさまりをつけること。 おさまりがつくこと。 「事態の収束をはかる」 「 終息」とは 完全に終わるという意味。 終結することをいいます。 「 収束」とは事態や状況などが 一定の状態に落ち着くこと。 新型コロナでいえば、感染の状況などを伝えるときに多く使われます。 病気自体が「収束した」という言い方はあまりしないそうです。 つまり、新型コロナを完全制圧した場合は「 終息」を。 新型コロナに関する状況がかなり落ち着いてきた場合には「 収束」ということになります。 終息か収束か? 以上のことから考えると「新型コロナウイルスの問題が早くシュウソクしてほしい」の場合は、 収束・ 終息のどちらもありえるということですね。 ケースに応じて文脈から読み取り、自分で判断する必要がありそうです。 この場合はどっちでしょうか。 感染症の場合は「 終息宣言」を使います。
次の新型コロナウイルスに対する 緊急事態宣言がようやく解除されました。 この新型コロナウイルスの感染に対して 「収束」と「終息」 二つの言葉が使われています。 どちらも「シュウソク」と読む 同音異義語です。 今日は、この2語を どう使い分けたらいいのかについて 考えます。 収束について まず、「収束」についてです。 つまり バラバラだったものを束ねて、 一つにまとめる(=収める)という意味です。 混乱している状況が落ち着くことを表します。 (注)最後に「息」=「おわる」の例文を載せました。 つまり、「終」も「息」も終わるという意味で、 似た意味の漢字を重ねて、 「完全に終わる」という場合に使います。 「収束」と「終息」の使い分け 上記の漢字の意味から 新型コロナウイルスに関しての 「収束」と「終息」の使い分けは 以下のようになります。 <収束>と<終息> 時系列的に言うと、 自体がほぼ収まり(=収束) 最終的に完全に終わる(=終息) ということになります。 クイズ クイズに挑戦してみましょう。 以下の例文では 「収束」と「終息」 どちらを使ったらいいでしょうか。 考えてみてください。 (例1)新型コロナウイルス「シュウソク」宣言 (例2)新型コロナウイルスの「シュウソク」の スピードは期待されたほどではない。 (例3)新型コロナウイルス問題が 早く「シュウソク」してほしい。 ~~~~ 答え ~~~~ (例1)新型コロナウイルス 「終息」宣言 (例1)宣言は一般的に 完全に終わった時に発します。 そこで、 「終息」の方がふさわしいと考えられます。 (例2)新型コロナウイルスの 「収束」のスピードは 期待されたほどではない。 (例2)はシュウソクのスピードとあるので、 「終わり」という結果ではなく、 収まっていく「過程」に注目していると考えられます。 そこで、 「収束」の方がふさわしいと思われます。 (例3)新型コロナウイルス問題が 早く「シュウソク」してほしい。 (例3)は「収束」と「終息」 どちらでも使えそうです。 この文を記した人が どちらの「シュウソク」を念頭に置いたかによって、 変わります。 そこから 「病気をせずに、元気にしているさま」 という意味に転じました。 (例)息災でいらっしゃいますか。 (=お元気でいらっしゃいますか) *とにもかくにも、 早く、もとい、 速くコロナの問題が「終息」してほしいものです。 ではではニゴでした。
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