我妻 善 逸 小説。 『鬼滅の刃』我妻善逸、一つの技しか使えない剣士の強み 「霹靂一閃」に魅了されるワケ|Real Sound|リアルサウンド ブック

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我妻 善 逸 小説

《注意》 この小説には、 コミックス未収録内容、善逸鬼化、逆行 の表現が含まれます。 色々な設定が盛り込まれておりますので、なんでも許せる方のみお読み下さい…!! [newpage] 「…ここだ」 あれから三年経ち、俺はある門の前に来ていた。 「懐かしいなぁ…何年前だろ」 見覚えのある門や周りの景色に、なんとも言えない気持ちになる。 本来ならこの年齢は大人達にずっと追い回されていた時期だけど。 ーーこれから会おうとしている人は決まっている。 前の世界で沢山お世話になった人。 凄く凄く迷惑かけたけど、決して俺を見放さなかった人。 「…じいちゃん」 その名前を呼ぶだけで苦しくなる。 思い出されるのは彼の壮絶な最期。 そして、それから自分はーーそこまで考えて頭をブンブンと横に振る。 駄目だ、これは前の世界の話。 踏まえて行動するのは良いけど引きずるな。 (よし) 改めて決意を固めて、そうして門に手をかける。 心臓が信じられないくらいバクバクいってる。 正直今世で一番緊張しているかもしれない。 だってもう自分の心臓の音しか聞こえないもん。 大動脈破裂して死ぬかもしれない。 嫌すぎる!! なんて考えを捨てて、グッ、と力を込めて押すと、ギィ、と小気味良い音を立てて門が開く。 一回押して仕舞えばなんてことはなく、俺はそのまま歩を進めていた。 「なんじゃ、客人か。 随分と幼く見えるが、どうしたんじゃ」 声が聞こえてその方を見るとそこに立っていたのは、俺がずっと会いたくてたまらなかったじいちゃんで。 「じ…」 思わず呼びかけそうになったが、慌てて堪える。 この世界では初対面なんだから、と思い直し、俺は話しかけた。 「俺は我妻善逸と申します。 鬼殺隊に入るべく、貴方のご指導賜りたくここに参りました」 丁寧な言葉遣いをじいちゃんにするのはこれが初めてかもしれない。 出会いが出会いだったけど…というか返答が怖くて足が震える。 これで帰れとか言われたら俺の計画総崩れだよ、どうしよう。 「…鬼殺隊に…?まだ幼いのに、難儀な事じゃ。 まさかこの短期間に二人とは…」 「よいじゃろう。 実はお前の少し前にこれまた入門希望者が来てな。 お前の兄弟子となるから、しっかりと学ぶんじゃぞ」 じいちゃんは小声でゴニョゴニョと呟いてから、返事をくれた。 良い、って聞いた瞬間の安心感といったら!ただ、「幼いのに」「二人」「兄弟子」って言葉が気にかかるよね。 多分俺と歳が近い人が入門して、その人が俺の兄弟子になるって事だと思うんだけど。 (誰だろう…) 怖くないといいなー、なんて考える。 前の世界では獪岳が兄弟子だったけど、心が荒んでたから正直滅茶苦茶怖かった。 もうあんな経験は御免なんだけど、と色々思っていたら、じいちゃんが指を指した。 「ほれ、そこで鍛錬している奴じゃ。 紹介するぞ。 おい、獪岳、お前の弟弟子が来たぞ!こっちに来んか!」 (え?今じいちゃんなんて言った?) じいちゃんの言葉は俺を混乱させるには充分で、俺の頭の中は疑問符ですぐにいっぱいになった。 いやいや、そんなまさか。 聞き間違いだよね、なんて考えているうちに兄弟子はこっちに近づいてきている。 えっ嘘冗談でしょ? 「よろしく頼む、獪岳だーー」 「こちらこそよろしくお願いします、我妻善逸と申しまーー」 その言葉に顔をあげ、条件反射で言葉を返せば、両者共に言葉を止め顔をじっと見合わせる地獄絵図の出来上がり。 いや冗談じゃないよ。 ーーなんで、獪岳が、ここに。 俺は鬼を倒して、皆を救った筈なのに。 それが意味するものは…と思った瞬間、目の前が真っ暗になった。 俺は何も喋れなくて、獪岳も困惑しているのか固まっている。 そんな耐え難い空気を壊したのは、じいちゃんだった。 「これ、何を固まっとるんじゃ!緊張しとるのか?うむ…じゃあ何故入門したのか理由を言ってみろ、獪岳、お前からじゃ!」 いやいやそんな自己紹介みたいな…なんて俺が驚いていると、名指しされたからか、獪岳がハッとしたように話しだした。 「…鬼に襲われたときに、ある人に救けて貰いました。 その人は雷のようで、そんな風になりたいと、そう思いました」 その人、という時に俺に目を落としながら獪岳は確かにそう言った。 夢で、というのはきっとじいちゃんには伏せているんだろう。 その言葉は、深く沈んでいた俺の心をあっという間に引き上げてくれて。 隣でじいちゃんが嬉しそうに頷いていたけど、俺はといえば頭の整理でいっぱいいっぱい。 つまり、俺はちゃんと皆を救えていて、獪岳は俺を見て雷の呼吸を使いたいと思ったって事だよね。 そう考えて、俺はなんだか泣きそうになった。 でも、次は俺の番。 だからグッと堪えて、こう言うんだ。 「…俺は、皆を救いたい。 鬼から、幸せを壊されようとしている人たちを守りたい。 そう考えています」 これは今の俺の原点。 そして今も変わらない目的。 口に出すと、なお身体が引き締まる。 じいちゃんは満足したのか、鍛錬場へと俺を案内する。 竹刀を持って力いっぱい振るう、これは久しぶりの感覚だ。 けど、やっぱり感覚も身体の使い方も鈍っていると思う。 しっかり修行で取り戻さなくちゃ。 前の俺は逃げてばっかりだったけど、今回はしっかり頑張る。 いつの間にか、獪岳も隣で竹刀を振っていて。 前なら考えられなかったこの現状に思わず笑みが溢れて。 幸せだなあ、って思ったんだ。 しかもこの分だと獪岳あんまり気にしてなさそう。 何も聞かれずに済むかも!!なんて俺が楽観的に考えていたら。 「おい、後で聞きたい事がある」 獪岳が竹刀を振りながらそう話しかけてきた。 うん、ですよねーーーーーーーーーー!!! [newpage] 「…どういうことだ」 稽古後、今は密室で獪岳と正座で向かい合っている状態。 ーーいやこっちが聞きたいよ! 「…何が、でしょうか」 とりあえず惚けてみる。 するとハァ、と溜息を零されて。 ああ、腹をくくるしかないんだなあと俺はどこか遠くで思っていた。 唯一の救いは獪岳の心がきちんと塞がっていた事。 悲鳴嶼さんとしっかり腹を割って話せたんだなと察せられて、一安心。 本来なら此処で溜息じゃなくて舌打ちが出てきた筈だからなんだか凄く嬉しい。 あと個人的に獪岳が俺の弟弟子じゃなくて兄弟子で良かった。 何だかんだで尊敬してたからね。 そう思っていたらいつのまにか笑っていたようで、獪岳に怪訝そうな顔で見つめられる。 「!!まあ、話すと長くなるので…」 慌てて俺は視線を逸らして話す。 でも獪岳にそれは通用しないようで。 「構わない、話せ。 あと敬語じゃなくて良い」 バッサリと切られてしまう。 でも敬語じゃなくて良い、と言われて正直嬉しい。 前の世界と同じ用に接せるというのは中々喜びがある。 「…分かったよ」 観念して俺は話した。 勿論鬼だって事は伏せたけど、大抵のことは全部。 あれは夢じゃなかった、雷の呼吸を少しだけ使える、首が切れたのは奇跡、仲直りできて良かった。 とか色々。 爪で切ったとも言えないから奇跡が起きた、と捏造しておく。 最後のは言ったら獪岳は顔を赤らめていたから、きっと羞恥があるんだろう。 そのあと、色々考えているのか獪岳はずっと無言だった。 暫くして静かに部屋を出て行くまで、俺もずっと喋らなかった。 「…っっはぁあああ」 獪岳が部屋を出たあと、思いっきり息を吐いた。 いやこれも緊張凄いんだけど!!しんどかった!!というか俺今日心臓酷使しすぎじゃない!? 相変わらず心は騒がしい。 きっとこれは一生治らないと思う。 ーーーやっぱり、言わない方が良かったかな。 俺は寝転がり、目を細めながら考える。 いや俺だって正直こんな事になるとは思ってなかったし…勿論、言いたくだって無かったよ。 でも、きっと獪岳は確実に引かなかっただろうから。 だったら潔く伝えよう、そう思ったんだ。 でも夢じゃなかったという悲鳴嶼さんや子供達への罪悪感、しかも鬼を倒したのが目の前にいる俺だという事実、その他諸々できっと混乱どころじゃ済んでないだろうな、と思う。 特に一つ目が酷いよね。 これは時間が必要だろうな。 夜になって、獪岳と布団を並べて寝る事になった。 正直嬉しいけど、獪岳はいなかった。 きっと一人で考え込んでるんだろうと思う。 こればっかりは俺も口出し出来ないから、鬼殺隊の事でも考えようかな。 まず正直言って、鬼のまま鬼殺隊に入れるのか、って事だよね。 これは獪岳と話してる時に気が付いた事なんだけど、盲点だった。 鬼殺隊が鬼になるのは重罪、許されないことで。 だからじいちゃんは腹を切ったんだ。 でも、禰豆子ちゃんは処断されなかった。 炭治郎から色々聞いたから、入隊自体は不可能じゃない筈。 勿論凄く苦労はすると思うし、よく思われたりはしないよね。 でも、入隊は俺の目的に必要不可欠だから、諦められない。 でも、もしじいちゃん達に迷惑かけることになるんだったら潔く首を斬って死のう。 なんて自己完結した後、別のことを考えた。 そういえば炭治郎で思い出したけどこのままだと皆と同期になるのは無理だよね、当たり前だけど。 仕方ないよ、仕方ないんだけどーーやっぱり寂しいなあ。 でも、きっと皆が俺と同じ立場だったら、答えは決まってると思うから。 しかも上手くいけばそのうちの数人は鬼殺隊に入らず普通の生活が出来るかもしれないし、それに越したことはないよね。 俺は頑張って、皆の幸せを守ってみせるから。 だから、どこかで笑っていて。 そう思いながら、俺は目を閉じた。 善逸が次の日朝起きると、獪岳は熱心に竹刀を振っていた。 彼の顔は昨日とはどこか違っていて、きっと乗り越えたのだろうと感じられるものだった。 獪岳を案じていた善逸はそれを見て安心し、おはようと声を掛け、自分も清々しい気持ちで稽古に励むのであった。 (まさか獪岳と笑い合える日が来るなんて) (最高なんて言葉じゃ足りないや!) その頃、彼らの師範である桑島慈悟朗は弟子達の稽古の様子を見ていた。 その最中、 「善逸…善逸、獪岳…?」 何処かで聞いたことがあるような気がするのう、と、彼は一人呟いていた。

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【鬼滅の刃】鬼殺隊士『我妻善逸』がフィギュア化!日輪刀を抜く直前の一瞬が超絶カッコイイ♪

我妻 善 逸 小説

ひと頃よく話題にのぼった「ツンデレ」というのもその一種だと思うが、「ギャップを持たせる」というのは、漫画などでキャラを立てる際のわかりやすい手法のひとつであり、その効果を最大限に活かして(強調して)作られているのが、いわゆる二重人格のキャラクターたちだろう。 フィクションの世界で描かれ続けてきた二重人格 たとえば、スティーヴンソンの『ジキルとハイド』から、90年代に流行した一連のサイコホラーの文学・映画・漫画にいたるまで、正常と異常の心が1つの身体に共存する個性的な悪役たちを、これまでフィクションの世界は数多く生み出してきた。 要は、その正常時と異常時のギャップが激しければ激しいほど、悪の恐ろしさや悲しみが際だつわけだが、この2つの人格の差異が生み出す意外性を、悪役でなく正義の側で活かしたキャラクターのパターンも少なくない。 彼らの多くは、普段は温厚な性格の持ち主だが、ある局面においては封印されている凶暴な別の人格を解き放ち、異能を発揮して目の前の壁を打ち破っていく。 この種の主人公たちもまた、前述の悪役たちと同じで、普段の姿と別の人格を見せたときのギャップがそのまま個性につながっているわけだが、清廉潔白な「正義の味方」などよりも、私はこうした二面性を持ったダークヒーローたちのほうが、だんぜん人間味があって、キャラとして深いものがあると思う。 さて、前置きが長くなったが、吾峠呼世晴の大ヒット作『鬼滅の刃』にも、2つの顔を持った魅力的なキャラクターが登場する。 そう、主人公の竈門炭治郎と同期の鬼殺隊剣士、我妻善逸である。 我妻善逸は、師匠の桑島慈悟郎のもとで「雷の呼吸」を学んだのだが、結局、6つある「型」のうちの「壱ノ型」しか会得することができなかった。 そんな彼に桑島はいう。 「信じるんだ。 地獄のような鍛錬に耐えた日々を。 お前は必ず報われる。 極限まで叩き上げ、誰よりも強靭な刃になれ!! 善逸は師匠の言葉を信じて鍛錬を続け、「壱ノ型」の高度な技である、「霹靂一閃」の「六連」、「八連」、そして「神速」を身につける。 などと書くと、『鬼滅の刃』を未読の方は、おそらくこの善逸のことを真面目な「努力の人」だと思うことだろう。 無論、それは間違ってはいないのだが、平常時の彼は、どちらかといえば、臆病で情けない、いわゆるヘタレである。 しかも生まれながらの女好きで、惚れた女に騙されて借金を背負い、窮地に立たされた過去もある(そのときに助けてくれたのが、師匠の桑島だった)。 当然、鬼と戦うときはいつも泣き言ばかりいっているが、彼はなんと、恐怖が限界に達すると眠ってしまい、それと同時に勇敢な人格(と先に述べたような高度な剣技)を解き放つという、一風変わった能力(?)の持ち主でもある。 そう、善逸の強さの秘密は、この睡眠(失神)による人格の入れ替わりにあり、眠っているときに見せる勇敢な姿は、臆病な彼が自分自身を守るため、無意識のうちに生み出した別人格だと考えていいだろう。 たとえば、単行本の3巻の終わりから4巻の頭にかけて、荒れ狂う伊之助(猪の皮を頭に被った同期の剣士)に痛めつけられながらも、炭治郎の「箱」を守り続けた善逸の姿を見て、胸を打たれない人はいないだろう。 彼は、友人の炭治郎が、その箱のことを「命より大事なもの」といっていたというただそれだけで、身を挺してかばったのだ。

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#小説 #我妻善逸 懐旧

我妻 善 逸 小説

だから微妙に話繋がってないところとかあるし矛盾もある 善逸が気を失わなくてもかっこいいモード入る モブが出る 独自設定で捏造いっぱい 以上が許せる方のみお読み下さい。 理想の長男ですよもう。 自分のこと兄ちゃんって言うところにクソほど萌えるんですけど、共感してくれる人いませんか?炭治郎かわいいよね、むん!って可愛すぎません?口をぎゅってしてむん!って。 可愛いほっぺプニッってしたい。 推せる。 炭治郎よしよししたい。 よしよしされてほっぺ赤くして照れ笑いする姿をみたい。 禰豆子と一緒にぎゅーって抱きしめたい。 長男絶対いい匂いするでしょ。 溢れ出る長男力。 好き 善逸はもう相変わらずの善逸ですよ。 まじかわいい。 よしよししたい。 ぎゅーってしてよしよししたい。 絶対真っ赤になってオロオロするんやろ?かわえぇ、想像しただけでお腹いっぱいやわ、かわいい。 霹靂一閃を生でみたい。 絶対かっこいい。 ンガッって言って起きるところも愛せる。 推せる。 可愛い。 恥をさらしてるところも恐がりなところも優しいところも泣いてるところも嫉妬してるところも全部大好き。 伊之助はかっこいいし可愛い。 ほわほわしてるとことか最高に可愛い。 めっちゃ美形なのも推せるし腹筋割れてるのも好き。 腹筋触りたい。 腕にぶら下がりたい。 後ろからぎゅーってしたい。 絶対髪サラサラでしょ。 可愛い。 きれいなどんぐり見つけて喜んでるところをビデオに収めたい。 ビデオ見てなんだそれって目を輝かせるのを連写したい。 天ぷらに目を輝かせるのも可愛いしご飯いっぱい食べるところも可愛い。 獣の呼吸最高。 かっこいい。 伊之助は教えたりするの得意だったらいいのに。 炭治郎が擬音語で説明してる横で伊之助が解説してるとか良くない? かまぼこ隊が部活やってたら 善逸は吹奏楽の指揮者。 教えるのとか上手そう。 女子がいっぱいいるから選んだけど彼女欲しい圧が強すぎて女子寄ってこないし、寄ってきても友達止まりって感じ。 けど密かにモテてたらいいな。 運動神経も良いし走るの早いから陸上部とかバスケ部の助っ人行ったりしてたらいいな。 体育祭のとき文化部って言っても信じてもらえないとかあったらいいな 炭治郎は弓道部部長。 教えるのは壊滅的に下手。 温厚で優しくて長男力が溢れてるからめっちゃモテる。 全国大会行ったことあるといいな。 剣道部に助っ人に呼ばれることがあるといいな。 実は中学まで剣道してて、全国まで行ったから止めたとかそういうの良いと思うけど炭治郎は真面目だから途中で止めるってことはしなさそう。 伊之助は帰宅部。 剣道部と迷ったけど剣道のルール覚えれなさそう……サッカー部とかの助っ人を頼まれてたらいいな。 運動神経めっちゃ良いからルールさえ分かれば何でも出来そう。 たまに間違えてオウンゴールするのも伊之助らしくて良いと思う。 めちゃくちゃモテるけど、喋ってみて夢が壊されていく。 彼は天使じゃなくて森の妖精さんです。 かまぼこ隊好きすぎる。 かまぼこ隊への愛が溢れてやばい。 だから話繋がってないところとかあるし矛盾もある 善逸が気を失わなくてもかっこいいモード入る モブが出る 独自設定で捏造いっぱい 勘違い 以上が許せる方のみお読み下さい。 地雷は各自で回避!読んでる途中で、これ無理って思ったらそっ閉じ出来る人だけ読んでね おけ? [newpage] その日善逸は合同任務だった。 善逸はいつものように駄々をこね、屋敷の床を転がり回り、行きたくないと木にしがみついて泣いた。 それを呆れたように見るのはチュン太郎。 これまたいつものように早く行けと善逸の頭をつつき、手を嘴で噛む。 そして怒った善逸がチュン太郎と喧嘩する。 鳴柱である善逸の、いつも通りの光景であった。 ----------- ところ変わって任務場所。 丙である隊士は緊張していた。 此度の任務は柱と合同であるらしい。 それを聞いた隊士は目を見開き何度も何度も鎹鴉に確認をとった。 本当に柱なのか、それは本当なのか、なぜ柱と合同任務なのかと、それはもう、疲れた鎹鴉が怒ってしまうまで何度も確認を取った。 任務場所に着いてしばらく待っていた時、ふと誰が来るのか聞いていない事に気がついた。 隊士が鎹鴉に声をかけようとしたとき、いきなり呼びかけられた 「ねぇ、君」 いきなりのことで驚き、慌てて返事しながら振り向く そこには美しい金の髪を靡かせた美丈夫が立っていた。 「君鬼殺隊だよね。 合同任務?」 「は、はい!そうです!」 「そう。 俺は我妻善逸。 今日はよろしく」 これがあの我妻善逸。 隊士は飛び級任務には参加しなかった。 隊士達の代は飛び級任務が初めて試みられた年であり、そこまで任務に参加する者はいなかったのである。 しかし任務を受けた者達から話は聞いていた。 なんでも、任務に行きたくないと騒ぎ立てる男がいると。 その男の名は我妻善逸。 現鳴柱であり、鬼殺隊最速の男。 言動と実力の差により実力詐欺と言われているらしい。 彼の言動に惑わされ侮った同期はその実力を見て詐欺だと悔し涙を流し、後輩への嫌がらせの為に噂を流したとか流してないとか。 刀を構えたと思ったら気がついたら鬼の頸を切っていた。 あれはまさしく稲妻だった。 彼は雷神だ。 任務前は泣きながら任務に行きたくないと駄々をこねていたのに、いざ鬼を前にしてみれば雷の呼吸を使い一瞬で鬼を倒してしまった。 その時の姿が凛としていてとても格好良かった。 我妻善逸に出会ったら侮らないようにしろ。 言動と実力詐欺だからな! 藤の花の家紋の家でたまたま出会った同期が鼻息荒く一晩中ずっっっと語っていたのを聞いてどんな人かと思っていたのだが…… チラリと善逸を見る。 彼は静かな瞳でどこか遠くを見つめている。 その整った顔には表情を乗っておらずどこか人形のような印象を与えた。 どこが実力詐欺だ。 どこからどう見ても強者じゃないか。 この人が任務を嫌だと駄々をこねて屋敷の床を転がり回り門の前で叫びながらブリッジする?有り得ない! 透き通るような金の長い髪、ビードロのような蜂蜜色の瞳。 特徴的な眉毛で幼く見えるが、それも長い手足と高い身長で補われている。 凛と前を向いて背筋を伸ばし立っているのを見るだけでも彼の強さが分かる。 そんな彼が門の前でブリッジ?断じて有り得ない。 想像すら出来ない 「なに、俺の顔に何かついてる?」 ジッと見つめていると善逸はこちらを向いてコテリと首を傾げた。 サラリと金の長い髪が肩にかかる ブンブンと首を横に振り否定すると彼は興味無さそうにそう、と呟くと歩き出した そこで隊士はやっと任務の事を思い出した。 慌てて善逸の後ろを着いていく 「あ、あの」 「今から聞き込み。 俺は西に行くから君は東ね。 日が暮れ出した頃に此処に集合で」 「ぁ、はい」 テキパキと役割分担して善逸はさっさとそちらへ向かってしまった 聞いていた話と全然違うことに戸惑いながら隊士は聞き込みを開始した ----------- 善逸は路地裏に入ると、その場にしゃがみこんだ 「俺の方が先に来ないと行けなかったのに!!待たせるとか申し訳なさすぎる!!こんな事になるならもっと早く出とけば良かった!!!」 1人反省会である。 善逸は特殊な柱である。 お館様に飛び級任務の総監督を仰せつかったのだ。 その経緯もなかなかに特殊である。 我妻善逸は死にたくないイヤだと泣き叫び、甲の時も周りから舐められていたがその実力は素晴らしい物である。 壱ノ型しか出来ないが、彼は壱ノ型を極めた居合の達人。 昔は眠っていなければ実力を発揮できなかったが階級が上がるにつれだんだんと眠らなくても大丈夫になった。 今でも目を瞑っていないと怖いらしいが、きちんと頸を切れるので気にすることではない。 彼の同期である竈門炭治郎や嘴平伊之助はすでに柱会議で名前が上がっている。 そんな彼らが認めている我妻善逸。 技術も腕もピカイチ。 自分に自信が無さ過ぎるが、柱は皆個性豊かだ。 特に気にすることはないだろう どうにかして柱にしたい。 しかしお館様が柱の件を善逸に言うと彼は 「そんな滅相もない!俺よりも強い人は沢山います!!俺なんかが柱になる資格なんて無い!」 と言い切り断ったのだ そんな事は前代未聞。 柱を断るなんてあり得ないことである。 何故なら柱は鬼殺隊隊士の中の憧れである。 柱は生半可な実力ではとてもなれない。 柱になる者は皆他より一つも二つも実力が突き抜けているのである。 そんな憧れの柱になるチャンスを棒に振る隊士はいない。 そう、自分に自信の無い我妻善逸以外は。 しかしお館様はどうしても善逸を柱にしたかった。 彼はかなり優秀なのだ。 居合というのは刀を鞘に収めた状態で帯刀し、鞘から抜き放つ動作で一撃を加えるか相手の攻撃を受け流し、二の太刀で相手にとどめを刺す形、技術を中心に構成された武術である。 それを達人と呼ばれるほど極めた彼の攻撃はとにかく早い。 気がついたときには刀を鞘に収めており、鬼の頸が切れている。 それほどの技術を要する彼は優秀以外の何者でもないだろう。 彼は柱になるべき存在である。 しかし彼自身に柱を断られてしまった。 そこでお館様は考えた。 彼は自分に自信がない。 そこを利用するのはどうだろうかと。 彼は柱になる資格がないと言っていた。 つまり柱になる理由があれば断れないだろう。 そこで作られたのが飛び級任務である。 飛び級任務は予め強い鬼がいると分かっている場所に任務に行ってもらい、自分よりも強敵が現れた時どのように対応するのか、咄嗟の判断力を確かめる任務だ。 しかしそのような任務に1人で行かせては実力不足で死者が出る。 だからといって大人数で行くと鬼に警戒される。 この任務には付き添いが必要である。 強く見えない実力のあるもの。 善逸は臆病でとても柱には見えない。 というか甲にも見えない。 条件にぴったりなのだ まぁ善逸を柱にするための物であるから当たり前なのだが、もちろん善逸はそんな事知らない。 お館様が説明をして、ぜひ飛び級任務のために柱になってくれないか。 と言うと、善逸は頷いた。 それなら柱になると。 しかし彼が柱だとバレてしまえば任務の意味がない。 いくら強くなさそうでも柱というだけで実力のあるものだとバレてしまうから。 だから極秘で柱任命式を行った。 柱達とお館様だけでひっそりと。 故に彼が柱であると知っているのは柱達とお館様、それから飛び級任務を終えた者とそれを聞いた同期の者達だけである。 そんな善逸は日柱である炭治郎に言われていることがある。 善逸の性格を知っている以外の、戊以上の隊士との合同任務では柱としての威厳を保てと。 それはもう、炭治郎の顔を見れば善逸が逃げ出すほど何度も何度も言い聞かせた。 これは善逸が侮られていると知って怒った炭治郎が「善逸は本当はとっても強いんだぞ。 むん!」というだけの理由で行われたらしい。 それだけの為に毎日毎日追い怒られた善逸にとっては迷惑でしかなかったが、幸い善逸はその事を知らない。 どころか、「炭治郎は俺の事を気にしてくれているんだ。 ありがたいなぁ、良い友達を持ったなぁ」と思っている。 怒られるのが怖いから逃げていたが。 知らぬが仏ということわざもある。 彼が知ることはこれからもないだろう 炭治郎の説得 物理 により、彼は戊以上の隊士と合同任務であるときは柱として必要以上に気を引き締め、その結果任務の時善逸は気を引き締めすぎて逆に無表情になってしまった。 善逸曰く、少し顔が強ばってしまうらしい。 少しどころの騒ぎではない。 表情が抜け落ちているのだが、それを指摘する者は誰もいない。 本当の彼を知っている者は無表情の善逸を見たことがないからだ。 故に善逸は、本当の彼を知っている友人以外に常に無表情で少し怖いと思われている。 因みに飛び級任務を受けた後に彼と任務に行くことになった隊士は無表情で淡々と任務をこなす善逸を必ず二度見、三度見する。 そして彼らは納得する。 鳴柱様はお館様の命令で弱いフリをして自分達を試しているのだ。 と 凄まじい勘違いが起こっていることに我妻善逸は全くこれっぽっちも気付いていない。 「はぁ……さっさと任務終わらせて帰ろう」 反省会を終え、善逸は気を引き締めて聞き取りを開始した。 「なるほど、ありがとうございます」 「いえいえ、お兄さんお疲れでしょう。 お茶でもどうです?」 「すいませんが、仕事が立て込んでいまして……」 「あら、残念」 善逸は後ろ髪を引かれる思いで甘味屋を出た。 本当はお茶をしてまったり過ごしたいし、先ほどの子に求婚したいところだが、任務の途中であることと合同任務であることにより断腸の思いで諦めた。 もし任務途中で求婚でもして、それが炭治郎の耳に入れば恐ろしいことになる。 柱として威厳を保たなければ。 善逸は、怒った炭治郎に追いかけられたことを思い出して気を引き締めなおした。 そのためまた無表情になっているのだが、彼は気付いていない。 無表情の彼は美しい。 整った顔立ちがはっきり分かるので先ほどから注目を浴びているのだが、気を引き締めている彼は気がつかない。 日が暮れだし、善逸は元の場所に戻った。 しばらくすると隊士も戻ってきた。 「お疲れ様。 どうだった?」 「あ、えっと」 隊士は聞いてきた噂を話した。 夜になると人が居なくなるらしい。 どうやら10から20までの人が毎夜居なくなっている。 居なくなった人達には親がいない。 だから初めは夜逃げでもしたのかと思い気にしていなかったが、毎夜居なくなるのはおかしいと噂になっている。 「うん、大方俺と同じだ。 あとは居なくなった人は皆髪の長かったらしいって事くらい」 つまり、鬼は異様に髪に執着しているらしい。 「俺が囮になるよ」 善逸がそう言うと隊士は慌てた。 それでは彼が危ないと。 そう言うと善逸は静かな瞳で隊士を見た 「俺は柱だから、大丈夫」 あああああああ怖い怖い怖い怖い怖い恐怖が足にきてるよ!!嫌だぁぁああああ帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい でも情けない姿は見せれないしあああぁぁぁぁぁぁあああああなんて髪伸ばしてんだよ俺の馬鹿!!いや、鬼おびきだせるから楽だけどさぁ!! だからと言ってあの子を囮をさせるとかあり得ないし。 危ないじゃん、俺は弱いけど一応柱だから良いけど、あの子丙じゃん。 3つも下の階級だし、俺が守らないと 善逸は緊張でガチガチだった。 怖いからわざと視界をぼやけさせるようにボーッと遠くを見つめる。 その姿を物陰から見ている隊士。 隊士は善逸の様子を見て感心した。 丙になった今でも自分は怖くて震えているのに善逸は動揺もせず、無表情でどこかを見ている。 あれが柱。 すごい、かっこいい 緊張と恐怖で一周回って震えが止まっているとは思ってもいないだろう。 きらきらと尊敬の眼差しで善逸を見ている。 ザワリと善逸の纏う気配が変わった。 そのことに気が付き善逸を見ると彼は目を閉じている 隊士はふと同期の言葉を思い出した 善逸さんが目を閉じたら、本気になった証拠。 あの人が目を閉じたら鬼が近付いて来たって合図だぜ 鬼が来たんだ。 でも、一体どこに…… 「後ろだ!」 善逸の声が聞こえた。 鋭い声に反応してほぼ無意識に前に飛ぶとそれと同時に先程まで自分が居た場所の地面が抉れた 鬼だ。 しかし姿は見えない 「どこに……」 隊士が呟くといつの間にか近付いてきていた善逸が答えた 「影の中だ。 すばしっこい。 それに、俺達が鬼殺隊ってことばれてるみたいだな。 警戒の音が聞こえる」 善逸がそう言うと同時に善逸の影から鬼が現れた 「善逸さん!」 隊士が声を上げると善逸は振り向いて鳩尾を蹴った。 その衝撃に鬼は影から姿を現す 今のうちに、と切りかかろうと隊士が刀を構えたときだった。 シィィィィ 独特の呼吸音。 隊士の息の音も、鬼の呻き声もその音にかき消された 「雷の呼吸、壱ノ型」 平淡な声が響く。 隊士は善逸を見ていた。 鬼を見ていなければいけないのに、善逸を見ていた。 善逸に見とれていた 「霹靂一閃」 雷鳴が轟く 一瞬だった。 善逸の足が地を蹴った瞬間、稲妻が走ったように善逸の姿が消えた。 善逸は空から落ちる雷のように、一瞬で鬼の頸を切り落とした。 気が付いたときには善逸は鬼の後ろにいて、刀を鞘に収めて立っていた。 善逸も、刀身も、全く見えなかった。 一瞬で全てが終わった これが鳴柱。 これが鬼殺隊最速の男の実力 ただただ感動した。 彼の太刀筋は美しかった。 まるで雷のようだった。 見えないほど早く鬼の頸を切り刀を鞘に収める。 それにどれだけの技術がいるのか居合を使わない隊士には分からなかったが、そんじょそこらの人に真似出来ることではないということは分かった。 同期の行動にも頷ける。 確かに人に話したくなる。 自分のことではないのに自慢したくなる。 今まで様々な呼吸を見てきたが、その中でもダントツでかっこいいのだ。 月明かりに照らされきらきらと輝く金の髪を靡かせて静かに佇む善逸を見て、隊士は思った。 嗚呼、彼はまさしく雷神だ、と。 ----------- 「おつかれ。 怪我はない?」 善逸に話しかけられ隊士はコクコクと頷くことしか出来なかった。 感動で言葉が出なかったのだ。 彼は首を傾げるとそう、と呟いた。 相変わらず表情が抜け落ちている。 だがその瞳に僅かに安堵の色が見えた。 「それじゃ、お疲れさま」 「はい、今日は本当にありがとうございました。 お疲れさまでした!!!」 善逸は軽く頭を下げて歩いていった。 隊士は善逸が見えなくなるまで深く頭を下げ続けた。 その次の日、丙の階級の隊士にこんな噂が広まる 我妻善逸は雷神である。 と ----------- 「はぁぁぁああああ今日も生き残れたぁぁぁよかったぁぁぁ死ぬかと思った、本当に死ぬかと思った、というか死んだと思った。 よくあの状態から蹴れたよ俺」 屋敷に帰ると善逸は門の前で座り込んだ 「怖かった、本当怖かった」 めそめそと泣き始める。 合同任務が終わった後、恒例のことである 任務中に泣くことは無くなったが任務が終わり屋敷に帰るとうずくまって泣くようになったのだ。 任務中の無表情は消え去りいつもの彼に戻っていた そこへやってきたのは伊之助。 任務が終わり暇になったのだ。 ちなみに炭治郎は現在任務中である 「おい弱味噌!」 「なんだよぉ」 めそめそと涙を零す善逸。 伊之助は善逸の泣く姿が苦手だ。 「泣くんじゃねぇ!」 そう言って荒々しく、手拭いを彼の顔に押し付ける 「ぅぶっ……伊之助ありがとなぁ」 「うるせぇ弱味噌!俺をほわほわさせんじゃねぇ!」 炭治郎がいない間は伊之助が善逸を慰めなければならない。 伊之助はいつも通り、善逸を立たせて縁側に座らせその隣に腰掛けた 任務が終わった後泣いている善逸は頑張ったから褒めてやらないといけない。 炭治郎に教わった事である 伊之助はポケットを探り、綺麗なドングリを善逸の手に置いてやった 「やる」 「……ありがと」 善逸はドングリをぎゅっと握りしめ、ふわりと笑った。 「で、伊之助は何の用なの?」 「弱味噌、手合わせするぞ!」 「俺さっき任務終えたところなんだけど……えっ、ちょ、本当にやるの?嘘過ぎない?俺死んじゃうよ?いや冗談じゃなく、俺疲れて死んじゃうよ?嘘でしょ?」 「ごちゃごちゃうるせー!」 このあと炭治郎も来てめちゃくちゃ手合わせした。 おしまい!.

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