一方通行 ベクトル おかしい。 一方通行「実験してたら変なオッサンに邪魔された」|エレファント速報:SSまとめブログ

アクセラレータ (あくせられーた)とは【ピクシブ百科事典】

一方通行 ベクトル おかしい

トントンと頭を右手の平で叩きつつ、何か思い出しそうで思い出せない。 そんな現象に 一方通行 アクセラレータ は駆られていた。 最近オールマイトがテレビに出るたびにナニカを忘れているようで、モヤモヤとするのだ。 (何なンですかァ、このTOT現象は……) そんな事を思いつつ、彼は部屋にある荷物をまとめていた。 ソファーを軽くつま先でつつくと、部屋の片隅へと綺麗に移動していき、軽く缶コーヒーの残骸に触れれば見事にゴミ箱の中へと飛んでいく。 相変わらず便利な能力だ、と思いつつ。 必要最低限の物だけを集め、不要な物は全てゴミ袋の中だ。 どんどんと殺風景だった部屋はより一層殺風景な部屋へと早変わり。 まるで引っ越して来たばかり、いや空き家に近い状態だ。 何故今更片付けをしているか、普段の彼なら部屋の片づけなどは絶対にしないだろう。 「こンなもんか? ハァ、何で俺がこンな事……」 アイツらのせいで引っ越す羽目になった彼としては、何とも言えない心情だった。 携帯の番号も割れていたので、すぐに新しい携帯を買いに行き、そして直ぐさま不動産屋へと足を運んだのだ。 不動産屋の店員には何でこんな子供が?的な顔をされ、さらに一括でマンションを購入すると言ったらどこにそんな金があるんだよ、と言わんばかりの顔をされた。 それも当然だろう、何せ16歳の子供なのだから。 ピンポーン とインターホンが鳴る。 一方通行 アクセラレータ はゆっくりとドアの方へと向かい、鍵を開けた。 「引っ越しの荷物を預かりに来ましたー」 一方通行 アクセラレータ はその言葉にゆっくりと頷き、まとめてある荷物方向を指差す。 荷物を預かりに来たのは、どこにでもいそうな青年で、町で見かけたら顔など忘れてしまうであろう。 そんな彼はニコリと頷き、靴を脱いでせっせと荷物を台車に乗せていく。 「あのー、冷蔵庫とかは?」 「そっちで適当に処分してくれて構わねェ」 「そういたしますと、手数料が別でかかるのですが……」 青年の一言にほんの少しばかりため息をこぼしてから 一方通行 アクセラレータ は問う。 「いくらだ?」 「そうですね、冷蔵庫ですと6400円くらいかと……」 「違ェ違ェ、そこにあるモン全部だ」 「へ?」 青年は驚きの表情を浮かべた。 目線の先には冷蔵庫の他にも電子レンジやソファなど、まだまだ使えそうな家具が沢山ある。 「えっ、と、運ぶ物は?」 「そこにあるダンボール箱だけだ」 青年は 一方通行 アクセラレータ が指をさした方向に目を向けると三段ほど積み上げられたダンボール箱。 手をかける部分の隙間からは夥しい量の缶コーヒーが敷き詰められているのがわかる。 まさか、これだけか?と、訝しむ様な表情を青年は浮かべる。 「あの、この家具などはウチで処理するよりちゃんとした業者やリサイクルショップに出した方がお金になりますよ?」 「あン? 別に構わねェ。 次の住む場所には明日にでも必要な物が届くように買い物は済ませてンだよ」 「は、はぁ……わかりました」 「欲しけりゃくれてやる。 売るなり、捨てるなり勝手にしてくれ」 一方通行 アクセラレータ はそういいつつ、近くにある手提げ袋から札束を取り出し、青年へと手渡した。 急に渡された高額なお金。 今まで青年が手にした事の無い様な金額を目の前の明らかに子供が手渡してきたのだ。 そんな状況なら誰しもが驚くだろう。 「は? なっ! ちょっと! 困りますよ、お客様ッ!?」 「回収代金だ。 釣りはチップとしてでも受け取っとけ」 何という金銭感覚。 明らかにおかしい。 どんな恵まれた環境、いやどんなボンボンなのか青年からすれば聞きたくなるほどだ。 しかし、決して 一方通行 アクセラレータ がボンボンな訳ではない。 これはオール・フォー・ワンが悪事を働き稼いできた金。 いや、 一方通行 アクセラレータ を利用して稼いだ金でもある。 一方通行 アクセラレータ が先生の元を去る時に大半の資金を持って出ていった訳だ。 通常ならそんな事は出来ない。 いや、恐ろしくて出来るはずもない。 一方通行 アクセラレータ だから出来る事なのだ。 「流石にこの量のお金をチップという訳には……良心が痛むのですが」 「良心だァ? どォでもイイだろォが。 そンな事より、とっとと仕事済ませやがれ」 一方通行 アクセラレータ にとって湯水の様にある金。 百万二百万無くなろうがどうでもいいのだ。 青年はあたふたしつつも、素直にお金を受け取る事にしたのか作業に入る。 冷蔵庫などを掴み軽々と持ち上げ、台車へと乗せていく。 (身体能力強化系の"個性"か? そりゃ宅配やら引っ越し向きな能力だわな) 横目で作業している青年を見つつ、 一方通行 アクセラレータ は手に持っている缶コーヒーに口を付け、黒く苦い液体を口に含み、そのまま部屋の入り口から出て行こうとすると。 「いやー、もうすぐ雄英体育祭ですね〜」 「……、」 気軽に作業員の青年が話しかける。 一方通行 アクセラレータ としては、どうでもいい問いかけなので無視しようとしたが、不意に足を止めてしまう。 「実はこう見えて僕も高校生の時はヒーロー科だったんですよ。 まあ雄英みたいな立派な学校では無いですけどね」 「……だから何だ。 ヒーロー科なら何でヒーローになってねェンだ?」 ヒーロー科に入れるくらいならそれなりに技術と学力があるという事だ。 たとえそれが有名な高校でなくとも。 だが、何故目の前の青年はこうして引越し屋などやっているのか疑問になり、思わず 一方通行 アクセラレータ は尋ねてしまった。 すると青年はニコリと微笑み言った。 「なんだか現代のヒーローって、ヒーローぽく無いってのが本音ですかね? いや、別に全部のヒーローがダメって訳じゃ無いですけどね。 ただ人々から讃えられたいとか、お金が欲しいとか、なんか違う気がしちゃいましてね」 「……、」 「だから辞めたんですよ。 まあ、僕には本物のヒーローにはなれないって思ったのが現実なんですけどね」 青年はこめかみをポリポリと人差し指で掻きながら少しだけ作業のスピードを緩める。 「ハッ、くっだらねェ……だが、オマエの意見が間違ってるって訳でもねェかもな。 あくまで俺の考えだがな……」 「もしかして、お兄さんも昔はヒーロー目指してたとか? 今も目指してるとか、そんな感じですか?」 青年は自分よりも年下の少年に対して似通った部分でも見つけたのだろうか?何故そんな事を聞いてしまったのか、青年自身にもわからないだろう。 彼の問いかけに 一方通行 アクセラレータ は背中を向けて部屋のドアをくぐりながら答える。 「ヒーローってのは目指してなるもンじゃねェだろォが」 目指すとか目指さないとか、そういった事では無いのだ。 一方通行 アクセラレータ にとってのヒーロー像は空よりも高いかもしれない。 腕には何本もの点滴がつけられており、腹にはグルグル巻きの包帯。 「腹を射抜かれてよく生きておったわい。 それで、奴は?」 奴とはきっとオール・フォー・ワンのことであろう。 オールマイトの覚えているのは悪意に塗りつぶされた様な黒い翼を生やした少年の姿が、オール・フォー・ワンを叩き潰した事だけだった。 意識が朦朧としており、今にもまた寝込んでしまいそうだ。 しかし、ここである事に彼は気づく。 「俊典!? 何をしておるッ!」 「行かなくては……あの少年がッ」 「少年!? 少年とは何のことじゃ……今現在、あそこに残っているのは救援に来たヒーロー達と一人の謎のヴィランだけじゃぞ?」 「謎のヴィラン……」 「今もあたり構わず暴れておる。 街の住人は避難して問題ないじゃろうが、かなり強いらしい。 あのギガントマキアをも凌ぐ程に……」 「行かなくては……少年を、彼を助けなくては……」 オールマイトはズルズルと体を起き上がらせ、一歩、一歩と進んでいく。 ………………… ………… …… 「オイ、住民の避難を最優先に考えろ!」 「アレは一体……」 「お、俺達は死ぬのか……」 荒れ狂う怒り。 オール・フォー・ワンを叩き潰してもなお、消えない怒り。 強烈な悪意が渦巻いている。 ヒーロー達はそれに背を向けるかの様に逃げ、街は崩壊の嵐に包まれる。 しかしNo. 2ヒーローのエンデヴァーは少しでも被害を抑えようと葛藤していた。 人々を逃し、名も知らぬヒーロー達を逃し、ただ一人。 「ォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」 人の叫び声とは思えない声。 砂煙、爆煙が立ち込める中、その姿を確認する事さえ叶わない。 見えるのは数十メートルまで伸びた黒い翼。 辺りの瓦礫をなぎ払い、それを止めようとしたヒーロー達はいとも容易く地面に叩き伏せられる。 (アレは一体……ッ!? 何が起きているというのだ) これが何かなどを考えている暇もなく、その翼はエンデヴァー目掛け突っ込んでくる。 それを紙一重、体格に似合わない軽快なステップで回避するエンデヴァー。 幸い、一般市民がここにいない事に感謝しつつ、膨大な火炎で攻撃を試みるが炎は目の前のナニカに届かず、掻き消される。 「クソッ、他のヒーロー達は何をしている!?」 自分の手に負えない。 そう感じたエンデヴァーは尽かさず距離をとり、あの翼を出しているのは何か、目を凝らして確認する。 砂煙がほんの少し落ち着き、その姿が僅かだが彼の目に映る。 そこにいたのは小さな少年。 真っ白い髪をした何か叫び、怒り狂っている少年。 (子供だと? あんな子供がこれ程の力を……) それはエンデヴァーにとって、衝撃の事実であった。 いくら追い付こうとしても辿り着けない。 そう感じさせるモノ。 それは自分がオールマイトに抱いていた感情にも等しいナニカだった。 一方通行 アクセラレータ の怒りは膨張し、オール・フォー・ワンを倒してもなお、止まらずにいた。 全てを破壊し、このままでは世界そのものを破壊し尽くさねば止まらないであろう怒り。 しかし、そんな事をさせない為に一人の男が立ち上がる。 ボロボロになった体で、その少年の怒りを止めるべく。 少年にこれ以上罪を背負わせない為に。 ナチュラルボーンヒーロー"平和の象徴" エンデヴァーは見た。 自分ができない事をやろうとしている男の姿を。 怒りの根源と思わしき黒い翼はオールマイト目掛けて一直線。 そして謎のベクトルがオールマイトを襲い体の自由を奪った。 (これはッ!?) 一方通行 アクセラレータ の背中から吹き出る様に出ている黒い翼はもうオールマイトの目の前まで迫っている。 だが、 「私は君を助けるッ!!」 オールマイトは金縛りの様に体を押さえつけていた謎のベクトルを力技で破る。 あのオール・フォー・ワンすら抜け出せなかった攻撃を、だ。 オールマイトには 一方通行 アクセラレータ の能力など全くもって理解していない。 どんな対抗策があるなど、そんな事は全く考えていない。 今の 一方通行 アクセラレータ に勝つ事など絶対に不可能であろう。 だが、オールマイト自身は全身全霊をかけて目の前の少年に立ち向かう。 リカバリーガールが手当てした左の脇腹からは血が溢れ、立つ事などままならないであろう。 しかし、彼は力いっぱい込めて黒い翼をたたき伏せる。 (何が平和の象徴だ……何がヒーローだ) その一撃一撃。 神 ・ に ・ も ・ 等 ・ し ・ い ・ 力 ・ の ・ 片 ・ 鱗 ・ を ・ 振 ・ る ・ う ・ 者 ・ に対して 人 ・ 間 ・ の ・ 受 ・ け ・ 継 ・ が ・ れ ・ て ・ 来 ・ た ・ 力 ・ を ・ 振 ・ る ・ う ・ 者 ・。 それは決して埋められない圧倒的力の差。 (君を救うと約束したのに……結局私は……) 勝負は決して対等ではない。 一方通行 アクセラレータ という能力に対してワン・フォー・オールという"個性"では絶対に届かない、いや土俵に上がることすら許されない筈。 だが、オールマイトは物理法則など、未知の力など。 そんな細かい事は気にせず、ただただ自分の力を振るう。 それは数々のピンチを拳で打ち破って来た時のように。 すぐさまオールマイトは 一方通行 アクセラレータ へと近づき、拳を構えた。 そっと 一方通行 アクセラレータ はオールマイトの方へ向く。 その表情は僅かだが、笑っている様に見えた。 これでいい、と。 悪を倒してこそヒーローだ、と。 そう言っている様な表情。 わざと負けてくれようとしているのかはわからない。 だが、オールマイトには彼の表情がとても切なく見えた。 そして、オールマイトは再び"平和の象徴"として蘇った。 …………………… ……………… ………… ……… …… … 〜雄英高校仮眠室〜 「結局、私は彼を救う事が出来なかった……」 「オールマイト……」 長々と 一方通行 アクセラレータ との過去を語ったオールマイトの表情は少し曇っており、笑ってなどいなかった。 緑谷は少し押し黙った。 そして何となくだが、 一方通行 アクセラレータ の気持ちが話を通じて伝わって来た様な気がした。 きっと 一方通行 アクセラレータ は自分を倒してもらう事で平和の象徴を生き返らせたのだと。 自分のせいで負わせた傷に責任を感じ、人々から平和の象徴という眩い光を消しかけたという自分に対しての自己嫌悪で、オールマイトを再び偉大なヒーローにする為に敗北を受け入れたのかもしれない。 一方通行 アクセラレータ は新しく自分の住む街をぶらつきつつ、お手頃な人気のあまりなさそうな飲食店を探していた。 何故、保須市を選んだか。 それは結構な数のヒーロー事務所が存在し、面倒ごとに巻き込まれても直ぐに適当なヒーロー達が対処してくれるからである。 (中々悪くねェ街だな。 つーか本当にヒーローばっか歩いてやがンな) 通行人に紛れてヒーロー達は街のパトロールに勤しんでいる。 ヒーローコスチュームを着ているので、あからさまに街を徘徊していれば目立つし、コスプレかよ、とツッコミを入れたくなる。 だが、この世界ではこれが普通なのだ。 スクランブル交差点を横断し、ふと目線を上に向ける。 そこには巨大なデジタルサイネージ。 いわゆる屋外ヴィジョンと言うやつだ。 『雄英体育祭まで、あと二週間をきりましたねぇー!』 『ええ、今年も楽しみですね。 今回は特に一年生に期待がかかってるみたいですよ? なんでもヴィランの雄英襲撃を乗り切った子供達なんです!』 『すごいですよね〜、まだ子供なのにヴィランに襲撃されて生きてるのですから!』 ここ最近では、どのチャンネルを回しても雄英体育祭の話題ばかり。 雄英高校を襲撃されたにもかかわらず、よく体育祭をやる気になったものだ。 (雄英体育祭ねェ……) 一方通行 アクセラレータ 自体、雄英体育祭を知ってはいるが見た事は未だ一回もない。 たいして興味もないのだから見ないのも当たり前なのだが。 それでも今回の一年には少しばかり興味が湧いた。 一度くらい見てみるか、と思いつつ 一方通行 アクセラレータ は自分の新居へと向かっていく。 今回引っ越したマンションは高級マンションに部類される。 セキュリティなどはもちろん完璧で、外観から何から何までも高級感に溢れていた。 (何でこンなとこ買っちまったンだ、俺ァ……) 正直な話、物件を見て買った訳ではなく、少しくらい高い方が住みやすいだろ、くらいの感覚で買ってしまったのが間違いだったと痛感する。 大体、マンションにエレベーターが5つも完備されているのはどうなのだろうか。 エントランスをくぐれば地面に敷かれているのはフカフカそうな絨毯。 靴で上がっていいのだろうか? とそんな事を考えさせられる。 そして少し進んだ所にマンション内に住む人が自由に使っていいと思われるテーブルとソファ。 (場違い感がスゲェな、オイ……) 一方通行 アクセラレータ はエレベーターにのり、自分の部屋がある階のボタンを押す。 僅か数秒で上層に到達。 エレベーターを降りて自分の部屋へと向かう。 部屋の扉はそこまで高級感など溢れておらず、ほんの少しばかり 一方通行 アクセラレータ はホッとした。 洋風の部屋なのはわかる、だが無駄な物が多すぎる。 もともと冷蔵庫など置いてあるのは構わないが、ジャラジャラとしたシャンデリアに部屋の壁は全てピンク色。 それに何故かカーテンまでもともと付いている。 付いているのは構わないが、何故ピンクなのだ。 一方通行 アクセラレータ は呆れていた。 そっと携帯を取り出し、何やら電話をかけている。

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アクセラレータ (あくせられーた)とは【ピクシブ百科事典】

一方通行 ベクトル おかしい

町外れ。 廃倉庫が並ぶ一帯。 1人の少年へ向けて銃声が鳴り渡る。 だが弾丸が少年に当たることはなかった。 血を噴き出していたのは、狙撃者の方だった。 「手間取らせンじゃねェよ」 銃声のした方へくるりと顔を向け、少年は呟く。 少年は一方通行(アクセラレータ)と呼ばれていた。 彼は『あらゆるベクトル(向き)を観測し、触れただけで変換する』超能力を持っている。 超能力自体は、この学園都市ではさほど珍しいものでもない。 学園都市内では脳の開発が行われており、学生の大半が何らかの能力を保有している。 それらは、ほとんど一般人と変わらない無能力者(レベル0)から1人で軍隊と戦えるほどの力をもつ、学園都市内でも7人しか存在しない超能力者(レベル5)まで6つの段階に格付けされている。 絶対能力進化計画。 学園都市第一位である超能力者、一方通行を絶対能力者(レベル6)へと進化させる実験。 その実験内容は、学園都市第三位である御坂美琴のクローン、妹達(シスターズ)を2万通りの戦闘環境で2万回殺害すること。 何も問題が起こらなければ今回も妹達の1人が殺されて終わりとなる。 実験は10032回目。 一方通行は既に10031体もの妹達を殺害していた。 10032号は一方通行によって反射された弾丸を肩に喰らい、息絶え絶えとなっていた。 あらゆる向きを変換する、ということはあらゆる攻撃の軌道が逸らされてしまうということ。 普段一歩通行は向きの変換を『反射』に設定しており、その状態で攻撃しようものならどんな攻撃でも本人へと返ってきてしまう。 10032号がそうであったように。 攻撃面でも、触れられれば終わり。 血流を逆転させられ即死させられる。 2万回戦ったとしても妹達が勝利することは決してないだろう。 それでも、実験を止めることは出来なかった。 「よォ、随分辛そォじゃねェか。 今楽にしてやるよ」 無情に投げかけられる一方通行の言葉。 逆転は不可能。 もう逃げられる程の体力も気力も10032号には残されていなかった。 一方通行の手が彼女に触れようと、血流逆転をさせようと近づく。 触れるか触れないかの瞬間で彼は異変に気付いた。 何かの気配を感じて振り返る。 そこにはオーバーオールに赤い帽子で、立派なヒゲを蓄えた、小太りの男性が立っていた。 一般的に見れば彼の姿は酷く滑稽に見えることだろう。 しかし、僅かだが一方通行はその姿に威圧されてしまっていた。 そんな馬鹿な、と彼は我に返る。 そして実験に紛れ込んだ不穏分子へと声をかける。 話している途中にも関わらず、赤い帽子の男性が突進するかのようにこちらへと走り出したのだ。 「ヒィィィィィィヤッフゥゥゥゥゥゥゥ!!」 背後からの奇声に思わず振り返る。 そこには10032号を抱えた男の姿があった。 だが一方通行は焦るような素振りを見せない。 実際焦ってなどはいなかった。 いくら拳が硬かろうと、いくら突きが速かろうと、反射されれば自分へと返るのだ。 しかも自ら触れてくれるのならその瞬間血流逆転で勝負は決する。 だが超スピードで逃げられてしまうのだけは厄介だ。 目で追えなかった以上、見失えば殺すことが難しくなる。 ならばこちらから仕掛ければいい。 足付近のベクトルを変換し、それこそまさに超スピードで男へ向かう。 触れさえすれば、終わりだ。 炎はゆっくりと地面で跳ねながら一方通行へと向かってくる。 こんな軌道が現実にあり得るのだろうか。 ベクトルを変換させるにしても多少なりともの演算が必要だ。 現実に存在する物質ならほとんどは演算無しでも反射が可能だが、学園都市第二位の生み出すような暗黒物質、多大な質量をもつものに関してはいくらか演算をしなければならない。 幸い炎のスピードはあまり速くはない。 考える時間は少しだけあった。 あの跳躍力が能力によるものでないこと、男のおかしな服装、そしてこの炎、おかしい点はいくつもあった。 相手の正体が分からない以上慎重にならざるをえない。 一方通行は攻撃を回避し、指先で炎に触れてみる。 すると炎は反対方向へとゆっくり向かっていく。 反射させることが出来る。 「ビビらせやがッて……何なンですかァ? てめェはよォ!!」 マリオが炎を出すのと一方通行が加速を始めたのはほとんど同時だった。 炎がこちらへと向かう中、一方通行は回避行動を一切取らず、一直線にマリオへと突き進む。 が、ダメージを受けることはない。 反射という絶対的能力を持つ彼には、攻撃から身を守る、回避するといった概念がまず浮かび上がらない。 反射された炎をも抜く速度でマリオへと近づき、そして腕を突き出す。 「死ねッ! ヒャハハハハァ!」 相手が如何なる能力を持っていたとしても、死んでしまえばそれは意味を為さなくなる。 マリオの不可解な身体能力も、炎も、マントも。 一方通行がマリオに触れさえすれば全て無に帰す。 だが、マリオはそれを許さなかった。 突然の風圧に一方通行は怯む。 なら、自分がたった今感じているこの感覚は一体なんなのだろうか。 彼の能力『一方通行』は自分が触れているものにしか影響を与えられない。 では自分とは何か。 その保護膜が、一方通行に触れているかいないかを判断し、そして反射が働くのだ。 逆に言えば、保護膜に触れることなく一方通行自身へ触れることさえ出来れば反射されず攻撃を成功させられる。 が、保護膜は一切の隙なく彼自身を覆っているのでそんなことは出来るはずもない。 しかし、彼は今〝風圧〟を感じていた。 マリオの持つスーパーマントは一方通行の能力とよく似た性質を持つ。 そのマントで吹き飛ばされたものはベクトル変換と同じように反射され、逆方向へと向かっていってしまう。 風でさえも。 例えば、攻撃が一方通行の保護膜に触れた瞬間に引っ込むとどうなるだろうか。 遠ざかる攻撃が内側に反射され、攻撃が当たるのだろう、ととある科学者は仮説を立てた。 その仮説は今現実となり、スーパーマントによって反射された風は一方通行に不可解な感覚を与える。 その感覚が一方通行に怒りの感情を湧き立たせる。 赤いヒゲだけでも苦戦していたというのに、事もあろうか新たに1人、緑のヒゲがやってきたのだ。 そして、2人とも感極まった様子で涙を流し始めた。 中年2人が抱き合って涙を流す場面など突っ込み所満載だが、今の一方通行にはそんなことを考えている余裕などない。 「ふッざけやがッて…………!」 彼がこれほどの屈辱を感じたのは、今日が初めてだった。 ふざけた男にわけの分からない技で攻撃され、こちらが倒れていても追撃すらしてこない。 学園都市第一位、最強であるはずの一方通行に対して舐めてかかってきている。 その瞬間、一方通行の頭の中で何かが弾ける。 「マリオ!?」 立ち上がった一方通行を見てルイージが不安げにマリオの名を呼んだ。 マリオとルイージは抱き合うのをやめて再び一方通行へと向かい直る。 あれだけの攻撃を喰らって立ち上がれるはずがない、マリオもルイージもそう判断していたのだ。 決して一方通行を舐めてかかっていたわけではない。 ただ、自分達の力を過信していただけだ。 だが、それが一方通行に伝わることはない。 「てめェら覚悟しろよォ……? 2人仲良く内臓ぶちまけてやるからよォ!!」 先程まで彼が感じていた怒りは既に消えてなくなってしまっている。 目の前の2人をどう殺してやるか、一方通行は楽しみで仕方が無かった。 無邪気で、邪悪な笑い声が廃倉庫一帯に響き渡る。 風は一方通行へ吸い寄せられるように吹き、そして彼の頭上に集まっていく。 それは思いつきの技であったが、彼の能力を以ってすればマリオ達どころか地球そのものすら破壊してしまえるかのようなものだった。 ベクトル操作により集められた風が一箇所に集められて、大量の空気が圧縮されていく。 それはみるみる内に大きくなっていき、遂には十数人を軽く飲み込んでしまえるほどになった。 それが落とされればどうなるか。 一方通行にも、マリオ達にも、見当すらつかない。 「マリオォゥ~…………」 ルイージが不安げにマリオを見る。 その足は震えていた。 マリオは黙ってプラズマの塊を見つめていたが、やがてルイージへと顔を向け、 そして微笑んだ。 「レッツゴーゥ!!」 「……オーキドーキ!!」.

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一方通行「実験してたら変なオッサンに邪魔された」 : とある SS

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受動的な『反射』は使用法の一例に過ぎず、能動的な使用でも絶大な効果を発揮する。 作中で披露したものを一部述べるだけでも、• 反作用を束ね、ただのパンチ・キックが無反動で倍の威力に• 物体を軽く小突いて弾丸のように射出する、『超電磁砲』以上の速度での石礫飛ばし• 衝撃を地面や壁に伝わせ、離れた位置に攻撃• 身体運動の増幅、音速を超える挙動• 風の操作による120Mクラスの暴風の発生、時速数百キロでの飛行• 空気の圧縮による作成、空気を膨張させ周囲の温度をコントロール• 地面を隆起させ、大規模な地割れを起こす• 音を束ね衝撃波を放つ、反響による空間把握• 血流操作で相手を即死させる、体内の異物を取り込まずに体外へ絞り出す• 生体電気の操作で相手を気絶させる• 細胞分裂の促進による負傷の治癒、血の操作と合わせて致命傷も完治• 脳の電気信号や水分の操作による洗脳や読心.

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